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ユザワヤ

その日は寝ずに家をでた。
一旦寝てしまうと起きられなくて大遅刻をした経験からだった。


まだ朝もやがかかっていて
信号もまだ寝ていて、早起きのおばあさんがおはようございます、と言ってくれる、いつもとは違う朝だった。
いつもは車もみんながみんな、生き急いでいるような
そんな朝だった。


駅について電車がくるまでまだけっこう時間がある。
ということに気づいて、ベンチに座り
キョロ
キョロ
カメラを取り出して、そこにいる
ようじょとおじいさんとハト


を撮っていた。こういう仕方なくできた時間に何かをすると得した気分になれた。


電車にのると、ゆりかごのように揺れてくれるので
私はすぐにねむることができた。
ワンピースを着ている女性がまわりにおおかった。
私もワンピースをきているので
ワンピースを着ている人間側からして
私のワンピースについてなにか思われているんじゃないかと
自意識過剰になりながら眠気をさましはじめた。
一番お気に入りのワンピースを着てきてよかった。


電車はすごい速度で、いつまでもいつまでも走るので
自分が住んでいるところからすごい力で遠のいていくと実感して
なんだか怖くなってきていた。
3時間ぐらいたって、待ち合わせ場所についた。
知らない場所で目のまえには
ユザワヤがあった。
ユザワヤ ユザワヤ ユザワヤ ユザワヤ ユザワヤ
ユザワヤ ユザワヤ ユザワヤ ユザワヤ ユザワヤ



と書いてあるので、私は面白がってそれを撮った。
その場所は私が住んでいる場所とは違う雰囲気で
本当に遠い異国にたどり着いてしまったんだ、と
異国でもないのにそう思った。


その場所を撮ることにした。
なんとなくタクシーをひやかさないようにタクシーを避けつつ
道ゆく人のことを何食わぬ顔で撮ってみたり。


電話をした。いままで1人でいたときの思考回路とは
ずいぶん違くなった。世界が明るくなったような、
ポジティブになれるような、でも
電話をきった瞬間にまた1人になり 一瞬にしてさっきの状態にもどった。
1人になると、世界がうっすら切なく悲しい膜に包まれたようにみえていく。
静かにネガティブになりながら、またしばらく1人になった。



公衆電話にうつる自分の姿をみる。
あまりに自然な格好をしていたので、嬉しくなった。
太陽にあたり、あまりに自然なかんじで、日常的なかんじで出迎えよう、
と ワクワクした。



ペットショップにいけば猫が暑がってバテていた。
とあるインコは集団のなかで1匹、いじめられて弱っていた。
このままじゃ死んでしまうんじゃないか、と心配になり
一週間後にまた確認しにいくことになる。
一週間たってもそのインコは不思議なことに思えるくらい、ふつうに生きていた。


-



夜。ぜんぜん帰りたくなかった。
帰りたくないし、でも帰らなきゃいけないので帰った。
帰ってしまえば、いまま遠出していた思い出が
なんかすごい出来事に思えたので
そりゃあ私なんてあの場所に長くいれるはずがない
帰って当然だ、と家に帰ってしまったのでおもった。
すごいできごとも一週間近く経てばもっと幻になっていった。
どうせすごくて幻になるならば、書きとどめてしまおうか。


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